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ザ・シューター 極大射程 [映画[2007]]

出演:マーク・ウォールバーグ、マイケル・ペーニャ、ダニー・グローバー、ケイト・マーラ、イライアス・コティーズ他

監督:アントワーン・フークア

原題:SHOOTER                               2007年 アメリカ

謎の組織に罠にかけられ、大統領暗殺未遂犯として逃亡者となった孤高の狙撃手ボブ・リー・スワガーの戦いを描いた作品です。


抜群の腕前を持つ海兵隊特殊部隊に所属する狙撃手ボブ・リー・スワガーは、作戦の失策により敵地に置き去りにされ、相棒で親友でもある観測手ドニーを殺害されてしまう。たった一人で敵に立ち向かい、ドニーの借りを返した彼は、帰国後軍を退役し、今は人里離れた山の中で、犬のサムと暮らしている。

そんな彼の元へ、見るからに怪しい人物が訪ねてくる。彼は自らを「大佐」と名乗り、今現在進行しつつある大統領暗殺計画を阻止するために、ボブの力を貸して欲しいと願い出たのだ。

何かしら怪しさを拭いきれない計画に慎重になるも、結局は協力をすることに。
彼らに言われるまま、狙撃箇所の選定から距離の測定まで淡々とこなし、そして問題の日がくる・・・。

観測手としてとあるビルから演説の様子を見守るボブに、いきなり銃弾が浴びせられた。至近距離からの被弾だったが、運良く弾は貫通し命からがら逃げ出すことに成功したボブ。だが、自身の置かれた立場を認識し愕然とする・・・・

大統領暗殺犯の汚名をきせられ追われる身となったボブ。彼が陰謀に巻き込まれたことにより、現在の唯一のパートナーである犬のサムまでもが無残に殺され、彼は見えざる敵に対し復讐を誓う・・・・・


以下、思いっきりネタバレしてます。原作に関するネタバレもしてます。ので、注意。

原作は、2000年の「このミステリーがすごい!」の海外部門1位を獲得した作品です。孤高の敏腕狙撃手ボブ・リー・スワガーを主人公にし、シリーズ展開しています。
時代にそぐわないということでしょう、設定などが細かく変更されてますね。でも、大まかなストーリーは原作を踏まえて進んでいるので、それほど違和感は感じません。原作との相違箇所は・・・
 ボブ・リー・スワガー・・・ベトナム帰還兵平和維持活動海兵隊員
 ニック・メンフィス・・・狙撃の名手だったが実戦で大失態を犯し、以後出世から見放されてるFBI捜査官新米のFBI捜査官
 ジュリー・フェン・・・ベトナム時代の相棒ドニーの未亡人。看護士。名前がジュリー→サラに。教師。
他にも、精神科医のドブラー博士(同じ役名の人は出てくるが、役職不詳)が出てないし、最初のダイイング・メッセージの謎解きや、教会爆破(この一件で、ボブ・リーが死んだという偽証拠が出る)など、キーとなりうるポイントが端折られてるのがちょっと気になります。

設定を現在の軍事状況に合わせて変えたので、色々細かい所を変えざるをえなかったのでしょう。でも、ボブの即席相棒となるFBI捜査官ニックの射撃の腕前が抜群に良い説明が、この映画の設定では希薄に感じられるし、『血が嫌いだから・・・』と看護士になる道を選ばなかったサラが、いとも簡単に処置を施すところにものすごい違和感が感じられるのですが・・・ケガをして転がり込んだ先に丁度良い具合に看護士が居る・・という出来すぎの設定を嫌ったのかもしれませんが、銃創の処置なんて一般人がやるには限界を超えすぎてるので、教師なんてとってつけたものにせず、原作のまんまの設定でいっても何の問題もなかっただろうに・・・
FBI内部にも確執があって、今回の事件が起きる前に大統領警護の目的で上級捜査官が現地に指揮に来るのですが、その大物とニックの間の因縁というかなんというかも描かれてないし。FBIにしても、CIAにしても、もっともっと陰謀色がすっごく濃い作品なのに、これではあやふやにしてますよね。配慮が必要だったのでしょうか?

自身の潔白の証明を棚に上げて、謎の組織を相手に『犬の為の弔い合戦』っていうだけじゃ、、、動機が薄すぎます。確かに犬に対する落とし前云々・・・は原作でも出てきますが、他の要素も絡んでいるし。
ボブが持ってた最後の切り札は、映画も原作も同じなのですが・・・良く考えたら、それがあるなら逃げずに捕まっちゃっても証拠不十分ってことで釈放されたはずなのにね。原作だと、自分を巧みに利用した組織への復讐心が燃え上がるのは必然なのですが、これだとー・・・・・

それに、なぜ大司教を殺さなければならなかったか?の充分な説明がなされてなかったような・・・・・

と、それほど違和感は感じません・・・とか書いておきながら、ボロボロと指摘してます(笑)

でもね、映画として観ていて視覚的に派手な撃ち合いなどがあるし、ここぞの危機に煽られた場面でも絶妙なタイミングで助けが入ったりするので、十分楽しめる面白い内容になってると思います。
ボブ・リー・スワガーのイメージ、マークにぴったりとはまってたし。彼は巧かったです。『ディパーテッド』の時も、相当巧かったですが(ほんと、コイツイヤだぁぁぁ・・・な役柄を好演してました)、これもがらりと変わって良いです。
ライフルが妙に似合ってるし。

ニック・メンフィスは、原作のイメージとは全然違うのですが、この新米って設定ならば・・文句はないですね。
ジョンソン大佐(原作ではシュレック大佐)は、ダニー・グローバーではちと迫力不足だったかなぁ・・・と。もっと屈強そうな冷酷そうな俳優さんの方が良かったような・・・。ダニー・グローバーだと、なんとなくいい人な雰囲気が漂っちゃってて(笑)
ジャック・ペインは・・・まぁまぁイメージ通り。あのいかにも悪そうな含み笑いが、設定に合ってましたね。
FBIのシニア・エージェントを演じたZak Santiagoが、とっても濃いお顔で、好みでした~。まぁこれといった出番も活躍もないのですが。

これ、よく考えてみたら、ボブが海兵隊を除隊するきっかけとなった事件はこの組織に直接関係しているってことになってるんですね。そしてその組織&その作戦が大司教暗殺とも密接に繋がりを持ってると・・・・・・なるほど、設定を変えても繋がるように、考え抜かれた筋なんでしょうね。

この原作者の方、有名な映画評論家でもあるらしいです。
今回の自作の映画化、彼はどう受け止めているのでしょうね。

ところで、これの予告編で飛行機をボタン操作で爆破するシーンが入ってませんでしたか?私の気のせいなのでしょうか?それが本編になかったのが気になるのですが・・・・削り取られてるシーン、多いのでしょうか。
ところでところで、なぜ原題に『The』が付いてるものには邦題で『ザ』を付けず、原題に付いてない時に限って『ザ』を付けちゃうんでしょうか???なんかとーっても不思議。

公式HP--→ http://www.shooter-movie.jp/


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流星☆彡

貴女は 原作を読まれてるんですネ!原作☆すっごく面白いそうですね。
原作と対比して下さってて、読み応えが ありました。嬉しいデス。(*^^)v
ウォールバーグ=スワガー←は、原作通りのイメージだったんだ♪
来日してインタビュー受けてる様子とか、“いい お父さん”って感じで、
筋肉も収縮してしまったみたいな(!)風情で、イメージが変わる人です
よね。^^; 着痩せするタイプでは あるな。うん!そして そして…
“予告編の飛行機をボタン操作で爆破するシーン”←なかったですよ
ね!?意識を失った時間のある自分には、「なかった!」と 自信を持って
言い切れずに居り。。。(*_*;A) あのシーン☆Coolでカッコイイのに、
もったいない!ストーリーの どの辺りの場面だったんでしょ!?

試写会で居眠りしちまった…拙著記事ですが、TBさせていただきました。
m(__)m
by 流星☆彡 (2007-06-05 06:01) 

如雪

>まみりんさん、おはようゴザイマス。
映画は未見ですが、原作は昔に読んだ気がします(うろ覚え)。面白かったような・・・(やっぱりうろ覚え)。

サラは、どうしても教師をやらせたかったなら、保健室の先生にすりゃ万事丸く収まったのに・・・て、そういうことじゃないですね?(笑)
学校の養護教諭が銃創の手当てをこなしてしまうのは、昨今は別の意味でリアルすぎですか。
でもあちらの学校に養護教諭っているんですかね?聞かないけど。
by 如雪 (2007-06-05 07:19) 

なるほど!
原作はやっぱりミステリーなんだよね。
だけど・・・
本作は完全にアクション映画だったですね。
アクション映画としてはすこぶる面白く観れましたよ。
でもね、おっしゃるとおりサスペンスとしては描き不足は否めず。
まみりんさんの記事読んで、そういえばそうだなぁって感じです。
でも、原作未読だとそれを感じさせないテンポの良さはあったな!
by (2007-06-05 23:42) 

ジジョ

こんにちは(^-^)
「メンフィスなんであんなに銃うまいの!?」とか、
「教師なのに手術しちゃった!!」とかの謎が全て解けました☆
原作おもしろそうですね〜。
by ジジョ (2007-06-06 01:51) 

まみりん

ちょっと留守にしていてコメント返答が遅れてしまいました。すみません。

> 流星☆彡さん、こんばんは。nice&TBありがとうございます。
試写会でみたんですね~。
原作は、公開前までに読み終えようと、がんばり(過ぎ)ました~。スワガーのイメージは、もうちょっと年配だったんですが、でもあのライフルを抱えた姿が妙に合ってるので、もう彼しかいないね~な感じになってしまって(笑)


>如雪さん、こんばんは。niceありがとうございます。
原作、やっぱり読んでましたか~。最近読み終えたばかりなのに、早くも記憶が・・・(笑)でも読み応えがあるので、これの続き?を今読んでます。
そういえば、あちらの学校に保健室ってあるんでしょうかね??あるとしたら、確かに銃関係の傷には強くなりそうな状況ですよね・・・
でも、アメリカの方って精神科医の需要が高そうなので、カウンセラーとかなら居そうですが・・・(笑)


>トチオさん、こんばんは。nice&TBありがとうございます。
この作品、余分なものを思いっきりうっちゃって、純粋にアクションしてますよね。ちょっと説明不足じゃないの?と思いましたが、全然大丈夫なんですね?
原作に忠実にいってたら、話が方々に飛んでしまい、結局何一つ印象的に描けなかった・・・という失敗を犯す恐れがありますもんね。


>ジジョさん、こんばんは。nice&TBありがとうございます。
原作、最後までがんばって読めればとても面白い作品です。でも、途中でどうしても停滞してしまうので(笑)、体力のあるときにどうぞ~♪
でも、映画を観た後だとテンポ良く読み進めることできそうですね。・・・あ、でも設定が違うのにちょっと戸惑いそうですが・・・


>nyanさん、こんばんは。niceありがとうございます。
全然ミステリではないので、単純にアクションを楽しめますよ~。おすすめです。
by まみりん (2007-06-16 20:16) 

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