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キングダム 見えざる敵 [映画[2007]]

出演:ジェイミー・フォックス、ジェニファー・ガーナー、クリス・クーパー、ジェイソン・ベイトマン他

監督:ピーター・バーグ

原題:THE KINGDOM                     2007年 アメリカ

自爆テロの犠牲になったFBI捜査官の敵討ちをするため、表立って動こうとしない両国政府の面々を押しのけて果たそうとする、捜査官たちの戦い。
でも、ただのヒーロー・フィクションものではなく、とてもリアルにとても淡々と事件を見つめています。とても重い作品。でも、とても面白い作品です。


サウジアラビアの外国人居留区で起きた自爆テロ事件。卑劣な計画により死傷者300人以上を出し、どうやらサウジの国家警察内部にも内通者がいて、事件にからんでいるもよう。9.11テロのこともあるし(ハイジャック犯19人中15人がサウジ人だった事実)、自国の威信のためにもサウジ側は捜査に消極的に。石油の利権やらなにやらでデリケートな関係を壊したくない当のアメリカ側も、徹底的な捜査には消極的である。

が、犠牲者の中にはFBI捜査官2人が含まれていた。
いつもの自爆テロでした、な報告に納得のいかない捜査官が、目には目をの精神で裏から手を回し、どうにかこうにか5日間の現地捜査の権利を得る。
米国人が標的になっている今、その国に潜入するということは、背中に的をしょって歩くようなもの。入国してもろくな成果も上げられないどころか、新たな標的となり必ず殺害されると思われることから、司法長官はあからさまに反対の立場をとり、暗に最終通告のようなものをFBI長官に突きつける。

捜査を受ける側ももちろん一枚岩ではなかった。常に裏切り者の影がちらつき、誰に対しても安心して背中を預けられるという状況ではない。捜査協力もクソもあったものではないのだ。
ついでに国家警察の威信にかけても、他国の捜査官に事件を引っ掻き回されるなんていうのは、絶対に許されることではなかった。その為に、捜査官たちは苦労して入国したにも拘らず、自由に捜査することも叶わずイライラを募らせてゆく・・・

そんな彼らのあずかり知らぬところで、事は彼らを巻き込んで進んでゆく・・・・・

 


うわぁ・・・ジェイソン・ベイトマンが居るよ~。しかもシリアスな作品に出てるし。
彼はベン・スティラーの『ドッジボール』でいい加減な実況?解説?を軽いノリで演じていた人です。あのいい加減な印象が強いせいで、おちゃらけた笑えない暴言を吐くたびに、あの映画を思い出しちゃって・・・・(笑)
でもシリアスといっても、彼の役は『テロリストに捕まっちゃって喉に三日月刀を押し当てられて公開処刑されそうになっている、、、』というバカみたいに危機的な状況なので、いつものハイなテンションでもなんら不自然な感はない。
そういえば、この作品の監督をしているピーター・バーグとは、超絶おちゃらけ映画『スモーキン・エース 暗殺者がいっぱい』で共演してましたねぇ。あの時の役柄もバカっぽかったけど一応弁護士だったし、今回はFBIスペシャル・エージェントだし、確実に出世してますね。
あれれ...ジェレミー・ピヴェンまでアメリカ大使館員役で出てるよ。彼は『スモーキン・・・』の“エース”じゃないですかぁ・・。あれ?これってシリアスものじゃなかったの?????

クリス・クーパーがこれまた好い感じで~。上のベイトマン演ずるレビットは言い出しっぺだからということで無理やりサウジに連れてこられたっていう感じですが、クリス・クーパー演ずるサイクスは、現場に行きたくてうずうずしてたって感じで良かった。肝が据わってるんですよね~。もうかっこよい。

ジェイミー・フォックスもジェニファー・ガーナーもとてもよかったですよ。
特にジェニファーの怒りと恐怖と戸惑いをまぜこぜにした演技は迫力&説得力があり良かったと思います。

サウジ側の人達は・・・・・・・すみません、全員同じに見えちゃって。最初上官?に殴られてた人と、その上司と、殴ってた上官の区別が全然つかなかった(苦笑)ついでにいうと、王子様も。
でも、それぞれ難しい役どころを巧く演じていて、良かったと思います。特に捜査協力というか監視役というか、FBI捜査官側に付くサウジ警察の大佐役をしていたアシュラフ・バルフムが巧かったです。彼は『パラダイス・ナウ』に出てたみたいですね。あぁ観のがした作品だよー・・・(涙)

そういえば、中東とかに限らず、要人が移動する時って『あの車』ですよね??黒塗りの大型SUV。あれはもう・・・決まってるものなのでしょうか?どの作品を観ても、毎回あの車種ですね。狙ってくれっていってるようなものですよね??
で、その車列が爆弾搭載ベンツに自爆られた時、捜査官たちの乗ってる車の後ろに付いてた護衛車が車間を空けましたよね?あれって彼らがグルだったってことなんでしょうか?そういうことですよね。それでフルーリーは何かあるって勘付いたわけですし。ってことは、警察内部に巣くっているテロリストの影というのは・・・影でなく実体化しちゃってるってことなんでしょうか?もしかして現実も?


サウジってすごいよ。RPG(ロケットランチャー)?って、普通の家に普通に常備されているものなんですね~。フツーの家の窓やらなにかから撃ち込んでましたよね?それも1つや2つじゃなく。こちらでいう懐中電灯のノリでしょうか?
テロリストの拠点とされる地区だったから特別なのでしょうか?しかもアレって命中させるの難しいらしいですね。撃つ前にボトリ...と落ちちゃったり、その上それが暴発しちゃったりするらしいです。劇的に使えない武器ですねぇ。劇中でも至近距離から撃ってるのにもかかわらず、全部ことごとく避けられてたし(笑)、反対に自分達の家に撃ち込んじゃったりしてたしね(笑)・・って笑ってる場合じゃなかったよ。そんなのでも、あちらでは必要不可欠なんでしょうね。真面目に。

自爆テロ用の武器?を製造している場面があるんですが・・・・・・・殺傷力を高めるためでしょうが、釘をどっちゃり仕込んで、更にきれいなビー玉までも詰め込んでました。それを家庭内手工業よろしく、もくもくと製造してゆくのですが・・・あれだけの統率力と作業集中力があればもっと生産的なものも容易にできるのではないかと。力を発揮する方向性が、おもいっきし間違ってます。


冒頭、FBI捜査官が犠牲になった・・・という場面で、フルーリーがジャネットに耳打ちした言葉、『皆殺しにしてやる・・・』。
時を置いて、彼らが敵を討ったときに敵のボスが孫娘(女の子でしたよね?)に耳打ちした言葉も同じだった・・・・。これが負の連鎖なんですよね。どこまでもどこまでも仇討ちが続いてゆく・・・・・。断ち切ることなんかできないんですよね。あちら側はアッラーの威信がかかっているし、こちら側には世界をリードしているというアメリカの威信がかかってるし。

死と隣り合わせな状況で育っていないので実感が湧きにくいのですが、特定の神を持たない、宗教に対する考えが浅い者には到底解りえない状況です。病院などで繰り返される肉体を蝕む死ではないですからね。命の重さとかそんな単純な物言いでは推し量れない重さが、彼らの考え?信仰?にあるみたいですし。そんな中にノコノコ出かけて行っても何も変えることなんか出来ないし、またそうすべきではないですし。彼らには彼らなりのスタイルってものがあるし。
中東方面は行ってみたい地域なんですけど・・・。ちょっぴり安全なところで、UAEなんてどうでしょうか?


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如雪

UAE・・・夢はドバイで競馬三昧っすよ。
お金があったら凄く楽しそうなところですね、ドバイ。
お金ないから、一生行く事無いでしょうけど(笑)。

まみりんさんの映画評は「映画が好き」という気持ちが溢れていていいですね~。
by 如雪 (2007-11-06 10:12) 

まみりん

たねさん、こんにちは。niceありがとうございます~。


如雪さん、こんにちは。niceありがとうございます。
あぁ...お褒め頂きありがたいやらお恥ずかしいやら(笑)
常にニュートラルな視点で観たいと思ってるのですが、話題作などになると期待の方が大きくなってしまい、その期待を大きく上回らないことには『良かった~』って素直に感じられなくなってるトコが問題なんですよね~。
だいたい、上映終了間際に観た作品は『当たる』ことが多いですね~(超いい加減・・笑)

ドバイ、(お金があれば)楽しめるみたいですよね~。さばくのオアシスというか、もう蜃気楼ですよ~。
一昼夜でもいいから、中東のお姫様になって遊びつくしたいです(笑)
by まみりん (2007-11-06 15:59) 

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