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パンズ・ラビリンス [映画[2007]]

出演:セルジ・ロペス、マリベル・ベルドゥ、イバナ・バケロ、ダグ・ジョーンズ、アリアドナ・ヒル他

監督:ギレルモ・デル・トロ

原題:Pan's Labyrinth                        2006年 スペイン・メキシコ

アカデミー賞で話題になった作品、ようやく観れた。

物語は、スペイン内戦後の混乱期を背景にしたダーク・ファンタジー。

オフェリアは童話が大好きな女の子。ある日彼女は母親と連れ立って、山奥に駐屯する新しい父親の元へ旅をすることになりました。臨月の母を傍に置き、自分のもとで出産させるために、新しい父親となるビダル大尉が無理やり旅をさせたのです。慣れぬ長旅と悪路のせいで、母親は度々休憩をしなければなりませんでした。
そして何度目かの休憩の時、オフェリアは森の中で足元に転がる不思議な石と不思議な昆虫を目にしました。

会ったことの無いビダル大尉に対し、恐れとも憧れともつかぬ感情を抱いていたオフェリアのほのかな希望は、瞬く間に拭い去られることとなります。初対面の際に冷めた眼でねめつけられたオフェリアは、これから先の生活に対し言い知れる不安に抱かれました。
その日の夜、そんな彼女の枕元に、道中出会ったあの不思議な昆虫が現れたのです。誘われるままに森の迷宮へと導かれたオフェリアは、そこで魔法の王国の入り口を守る、自称“牧神”パンと出会います。

パンは、オフェリアこそ遠い昔に地上に出て行方不明になってしまった魔法の王国のプリンセス・モアナだと言う。そしてそれを証明するために、オフェリアには3つの試練が用意されていると。それを乗り越えられた時、オフェリアはモアナに戻り王国への帰還を果たすのだと。早速オフェリアは試練に挑むことになるのだが・・・・・


この門番?“パン”を演じてる人、こういった特殊メイク系の出演が多いみたいなのですが、あのシルバーサーファーも彼のようですね。おっと、本作中の手に目玉がある怪物ペイルマンも彼でしたねぇ。実際の彼、なかなかいい男です。(シルバーサーファーはほとんど『素顔』で出てたんですね~)
悪ともお笑いともとりかねる独特の動きで、『もしかしたらワナかもよ??大丈夫か??』とハラハラさせられてしまいました。ほんと巧いっ。

このビダル大尉が巧いんだ~。もうすっごく憎たらしいの。ほんの時折人間性の欠片?を垣間見せますが、それでもこの人冷酷すぎます。そして、この役者さん巧すぎます(笑)

レジスタンス軍を拷問するところとか、ヒトラーを彷彿とさせる容貌とか、子供に対する理不尽さとか・・・残酷な描写が多いのですが・・・やはりこれにはファンタジー的要素がたっぷり。シビアな現実からの逃避、というアン・ハッピーエンド系お伽噺のお約束をベースにしてます。なのでお子様が観てもだいじょうぶね。あ、でもPG付いてるけど(笑)
色の使い方がやっぱPGなんですよね。なんかよくわからん言い方ですが(笑)、なんというか・・・子供向けではない色使い。スモーキーな感じだからかな?
でも、物語の性質上、ヴィヴィッドな色味にしなかったぶん、幻想感が増していい感じだったとおもいますよ。

カエルの巣でのドロドロ&昆虫とか、あまりつまみたくはないご馳走の山とか、怪物の極端なグロテスクさ加減とか、もうすばらしすぎる~。現実と幻想の境目がはっきりしているので、その対比がとてもよかった。


新たな世界の住人になるためには、今いる世界を捨てなければならないんですよね。理屈ではわかっても、両方の世界で幸せになってほしい、という都合のいい願望をもってしまいます。でも、いつの世もおとぎ話っていうのは残酷なんですよね。その残酷さがあるからこそ、物語の純粋さが際立つわけで・・・・・

リアルな史実が傍にあるし。
私にはちょっとキツかったですが、これはスペイン語の練習にも・・・・なりそうよ?

 

第79回アカデミー賞『撮影賞』『美術賞』『メイクアップ賞』を受賞しています。
公式HP--→ http://www.panslabyrinth.jp/


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コメント 10

ビダルとオフェリアの対比、現実と妄想の対比とそれに伴うビジュアル面での違いと実に興味深い作品でしたね。ストーリー的にはベタだし、ファンタジー面に重きを置いてない感じとか好印象です。オフェリアは幸せだったのな。
by (2007-10-19 00:53) 

こんばんは。
最後、新たな世界はオフェリアの心の中だったのかなと思ったので、
ちょっと悲しい結末に思えました。
でも、キャラがはっきりしていて、ツボにはいるところが多かったです。
かなり満足できる作品でした。
by (2007-10-19 23:29) 

うるる

見られたんですね。私も気になっているんですが、DVD待ちになりそうです。かなりダークなようですね~~(~_~;)

え、スペイン語の練習になりそう?? それはますます楽しみですね。4月から見始めたNHKのスペイン語会話、半分見ないうちに「録画しとくだけ状態」となり、気がついたら2巡目が始まっていました(^_^;)
by うるる (2007-10-22 14:44) 

まみりん

トチオさん、こんにちは。nice&TBありがとうございます。
観る前から期待バリバリで行ったんですけど、その期待に充分応えてくれる内容だったと思います。おっしゃるとおり、ファンタジーな世界に重きを置いてないトコとか、配分が見事だったと思います。
でもかといって重過ぎるってこともなく・・・
オフェリア役の子、子供っぽさももちろんあるんですが、時折見せる表情が大人びててかわいかったです。


ERUNさん、こんにちは。nice&TBありがとうございます。
やはり心の中にある世界なんでしょうかねぇ・・・・でも、最期の瞬間に違う世界の門をくぐれただけでも幸せなんでしょうかね??
私もそうなった時の為に、今からその『世界』のイメージをしっかり心に焼き付けておかなきゃっ!!
ほんと、個々のキャラがはっきりしていて、見やすい作品だったと思います。


うるるさん、こんにちは。
子供が絵本を読んだりするので、きっと勉強になると思いますよ~。
小さなやり取りの中で、あいさつ会話集(笑)のようなものも聴けるし。これはもっと勉強してから観ればよかったのになぁ・・・とちょっと後悔してます。もっと単語を拾えるくらいにしてたら・・・・・
スペイン語会話・・・番組すら観てないです・・・(苦笑)2巡目ってことは・・・秋スタートはもう始まっちゃったんですね。ということで、来年の4月に向けてがんばるぞっ!!(って、忘れそうだが)
by まみりん (2007-10-23 15:38) 

まみりん

xml_xslさん、こんばんは。niceをありがとうございます~。
by まみりん (2007-11-05 23:06) 

ange

こんばんは~
そういえば、お伽話はほんとは残酷なものでしたね。
でも、あの無垢な少女が幸せになって欲しい~という願望が最後までありました。
最初に結果を見せられていたんですけどね。
ちょっと、ショックだったですねえ。
TBさせて下さいね。
by ange (2007-11-15 21:25) 

まみりん

angeさん、こんばんは。nice&TBありがとうございます。
現実の世界で幸せになってほしかったですね~。死んだら終わりですもんね。
でも、きっと新たな生をうけて、幸せに暮らしてるってことなんですよね?お伽話の王女さまとして。
私もイメージ・トレーニングがんばらねばっ!!!(笑)
by まみりん (2007-11-15 23:13) 

こんばんは。
大尉役の俳優さん、存在感がすごかったですね~。他の出演作もチェックしてみようかなと思ってます。
メルセデスや医師、一人一人のキャラクターをきちんと描いてるところも魅力の一つですね。
ラストは私もちょっとショックでしたけど、観終わったあとにジワ~っとくるこの感じが好きです。
TBさせていただきます~
by (2007-11-23 23:34) 

こんばんは〜
大尉凄かったですね。狂気としか・・・
しかし、主役のオフェリア最後は残酷でもあり幸せでもあり、ナンとも言い難い気分になりますね。
いい映画でした。
by (2007-11-25 21:39) 

まみりん

長い間コメント放置してしまってすみませんでした・・・

merciさん、おはようございます。nice&TBありがとうございます。
観終わった後の『ジワ~・・・』、確かにそうゆう感じでしたね。決してハッピーじゃないんですが、これでよかったのかな~と思わされてしまう。
無駄なキャラもいなかったし、一人一人が巧かったし、良かったです。
なんといっても、あの色調が印象深く、良かったです。
あ~、大尉役の方、すごかったですね~。堕天使のパスポートに準主役級で出てるみたいなので、観てみようと思います。・・・が、なんか悪の予感??(笑)


WIZARDさん、おはようございます。ncieありがとうございます。
大尉みたいな人、絶対に近くに居てほしくないキャラなんですが、あの張り詰めた雰囲気、すごく良かったと思います。オフェリアVS..の絶妙なバランスがとれていたような。
監督独特の世界感に、すんなりと侵食されてしまいました~。
by まみりん (2007-12-04 09:57) 

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