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やさしくキスをして [映画[2005]]

出演:エヴァ・バーシッスル、アッタ・ヤクブ、シャバナ・バクーシ、ジョン・ユール他

監督:ケン・ローチ

原題:Ae Fond Kiss...     2004年 イギリス=イタリア=ドイツ=スペイン合作

スコットランドの詩人ロバート・バーンズの作詞による曲『Ae Fond Kiss...』(やさしいキス)に乗せて、切なくもどかしく繰り広げられる、愛の世界。人種の違い、宗教の違いから、周囲の人に理解されずに苦しむ、若い2人の物語です。

スコットランドのグラスゴーのカソリック系の高校で音楽を教える代理教師のロシーンは、ある日教え子の兄であるカシムと出会う。彼女は離婚秒読み状態で、夫とは別居中だった。
カシムはパキスタン移民で勿論宗教はイスラム教。両親も熱心なイスラム信者である。
決して交わるはずのなかった2人が、お互いに惹かれあい関係を深めてゆく・・・・・

が、やはり大きな壁が2人の間に立ちはだかるのであった。
イスラムの世界は、家族そしてコミュニティが密接に繋がりあって成り立っている。勿論結婚にしても、『いつの時代の話だ?』ってな感じで、親同士が勝手に「相手」も「日取り」も決めてしまう。愛し合ってるかなんて、二の次三の次。もしくはその事は問われないかだ。そんな習わしに疑問を覚えてたカシムは、偶然出会ったロシーンに強く惹かれてゆくのであった。

そんな中、カシムの家はあわただしくなる。
まず、カシムの姉の結婚話がまとまろうとしていた。
両親は、もう既に相手も日取りも決まってるかシムの為に、気も早く新居を増築し始める。結婚式に向けて、嬉々として準備を進める両親。カシムは未だにどちらにも何も打ち明けられずにいた。
カシムの妹のタハラは、親からは医学部に入るように言われているが、本人はジャーナリズムを学びたいと考えていた。親の希望する大学ではなく、少し離れた場所にある大学の入学資格を得るために、猛勉強をしていたのだ。

そんな家族が、カシムとロシーンの出会いを発端にして、バラバラに崩れようとしていた・・・・・


甘ったるい題名に反して、とってもシビアな内容です。カソリックvsイスラムですもん。

これ、みんな自分の事しか考えてないですね。主人公の2人も然り。他の家族も然り。(カシムの妹と学校の校長は違ったけど)
特に顕著だったのが、カシムの姉と教区司祭の2人でしょうか?この2人は酷すぎます。観ながら何度「キ~~~っっ!」となったことでしょう!!(笑)
姉はまとまりかけていた自分の結婚がご破算になるのが悔しくって、何がなんでもカシムを別れさせようと姑息なまねまでするし、自分が親に反抗せずに言いなりになってたもんだから、妹や弟がちょっとでも自分の意見を口にすると、両親に加勢して強固に反対をする。もう、サイテー女です。
司祭も、どこかからかイスラム教徒と同棲してるというネタを仕入れてきて、仕事の為に必要な書類への捺印を拒否するし。しかも聖職者にあるまじき態度で。これ観てるだけで、ムカムカムカ~~~!!ちょっと胃に悪い?(笑)

異文化、異宗教の中で育った2人が結ばれるには、乗り越えなければならない壁が、次から次へと出てきます。相当な覚悟+愛情がなければ、難しいですよね。
でも・・・・この2人にその強い絆と呼べるものがあったのか疑問。マイナスな面での本音は、ハッキリすぎるくらいハッキリと口に出してるのに、愛情確認とかお互いを思いやる気持ちなんかは、なんにも描かれてなかったような気がします。このカップル、一応は円くおさまったけど、きっと別れるでしょう(いじわる??)。だって、愛情確認っていったら、激しすぎる+しつこすぎる肉体関係での描写のみだもん(苦笑)
そう簡単に解決する問題ではないにしても、解決してない問題が置き去りなんですけどー・・・

主題は良かったと思うのですが、中途半端に描くと異文化に対する偏見の眼しか育たないような気がします。何かひとつでも、前向きになれるような兆しが欲しかったです。誰も何も成長してませよ?これがー・・・・・現実なのか?


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クリス

こんにちは☆私もこれ、ずっと観たいと思って安いDVDを探してます。実はこの映画は、私が住んでるグラスゴーを舞台にしてる+卒論でお世話になってる方がロケーション等の手配をされたらしく、非常に親近感が沸いてるんですよねー。ケン・ローチも好きですし。
でも、こういう問題って、これっていう解決策みたいなのをみつけることが難しすぎて中途半端に終わってしまう可能性も高いかもと思いました。やけに安っちい解決策をみつけられるよりはイイのかもしれないけど・・・。
by クリス (2005-12-19 10:45) 

まみりん

蛾銀さん、こんばんは。niceありがとうございます。
批判的な意見になってしまいました~。
設定とかは良かったと思うんですけどね~。現代のロミオ&ジュリエットっぽくって。でも、宗教の世界は奥が深いですからね~。
確かに、安っぽい最後にならなくって良かったとは思いますね。ちゃんと解決されてない問題を残してますし。解りあうことは不可能に近いと思うので、まぁ小さな輪の中(家族のみ)でも解りあうことができれば、それでいいのかな~と思います。
とにかく、あの主人公の男性のお姉さんには、もう(笑)怒りっ!!

蛾銀さんはスコットランド在住でしたね。素敵な所に住んでてうらやましいです!!湖水地方観光、行きたいです。
by まみりん (2005-12-20 00:39) 

あらら。私は結構気に入ってしまったんですけど。
DVDも予約しちゃったし。主題歌が良かったからかな~。
私も今度、感想書きますね。
by (2005-12-20 14:49) 

まみりん

おりょんさん、こんばんは。niceありがとうございます。
あぁ~、おりょんさんもこれ気に入ってますか~。前評判とかがかなり良かったですよね、それで期待しすぎてしまったというか、もっと甘~いラブストーリーを期待しちゃったというか・・・
こんなにも現実的なお話とは・・・・
でも、現実的だから良かったんですよね。うやむやにすべき問題でもないですしね。
でも、主演の2人、ほぼ新人さんの2人は良かったと思います。
by まみりん (2005-12-20 20:01) 

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